岩手県は海産物の宝庫です。その中心産地が洋野町です。洋野町のウニは、日本一の品質を誇ります。
一方、内陸部では牧畜が盛んで、大野の牛乳やヨーグルトなどの乳製品はその質の高さで知られています。
このように海岸部と内陸部で異なった産業が発達したのは、それぞれ地形や気候が大きく影響しています。
洋野町種市の海岸部には、浅瀬に10数キロも続く岩盤地帯があります。そこに深さ3mの溝を掘り、ウニやアワビの稚貝を放流し、育てるウニの増殖溝があります。荒波が絶えず新鮮な海水とエサとなる天然コンブやワカメを育てるので、クリーンな自然環境で質の高いウニが育ちます。 |
窓のような穴が空いた海食洞の「窓岩」をはじめ、多くの奇岩や岩礁、砂浜など、変化に富んだ地形が見られる種市海浜公園。この複雑な海岸線は、中生代後期白亜紀(8,500万年前頃)砂などが堆積してできた地層(種市層)で形成されています。 種市層は化石の宝庫です。特にカキの化石群が見られるのが特徴です。ほかにもアンモナイトやモササウルス、首長竜など、恐竜時代の海に生息していた生物の化石や、珪化木など、陸上の植物化石も観察できます。 |
三陸海岸の北側は隆起に伴う海岸段丘(海成段丘)が発達しています。海岸線は急崖や断崖が連なっています。その急崖の上にあたる洋野町大野周辺には、海抜180m~300mの高さに東西10km、南北15kmに渡って「大野海成段丘」が広がっています。 この海岸段丘は国内最古と考えられており、80万年前頃は浅い海の底でした。その後、隆起によって、以前海の中にあった平らな海底が地上に現れ段丘面になります。この活動がくり返されることで、なだらかで階段状に段差のある海岸段丘が形成されます。大野海成段丘も大別すると二段くらいに段差があります。一番標高が高いのは、大野キャンパスがある九戸段丘付近で、ここが一番古い段丘ということになります。 |
日本最大の砂鉄の製錬工場だった「川崎製鉄久慈工場」の原料採掘場跡。採掘していたのは茶褐色の「ドバ」と呼ばれる山砂鉄です。元山(久慈市)の砂鉄層は標高250m程の高台にありますが、これは白亜紀に貫入してきた花こう岩の風化によってつくられた砂鉄が海底に堆積し、その後の地殻変動によって隆起したものです。そうやって地表近くに現れたことで初めて鉱床として利用可能になりました。埋蔵量は国内最大規模と言われています。 砂鉄は、鉄鉱石が少ない日本ではとても大事な資源で、古くから「たたら製鉄」で使用されたほか、近代でも日本の各地で砂鉄の採集が行われた時期がありました。ところが砂鉄は高炉での製錬には適さないため、利用が進みませんでした。川崎製鉄久慈工場では、試行錯誤を繰り返して製錬技術を確立。最新式の高炉や特殊炉を導入し、量産化に成功しました。 大野運動場付近には、今も露出した砂鉄層を見ることができます。 |